COLUMN
コラム
2024.07.24
山村フォトニクスのLTCC開発コンセプト
前回のコラムでLTCCとは何か、をご紹介したところで、今回は山村フォトニクスのLTCC開発コンセプトをご紹介したいと思います。
山村フォトニクスにおけるLTCCの開発がスタートしたのは、1990年代です。山村フォトニクスの前身である日本電気真空硝子時代に、親会社であるNECからLTCC事業が移管されたことがきっかけでした。
セラミックス基板は、一般的なプリント基板に比べ、より小型化・薄型化が可能となります。その理由は、セラミック基板は積層が可能なので、LCR機能を立体的に設計することができるためです。ここに目を付け、1980年代当時、スーパーコンピューターにセラミックス基板を搭載させよう、同じ機能のものをより小型化できることをアピールしよう…という機運が高まりました。そんな中、導体材料として高価なW(タングステン)やMo(モリブデン)の選択肢しかないアルミナ基板に代わる、より安価かつ導体特性に優れた電極材料を使用可能なセラミックス系材料として開発されたのがLTCCでした。
安価で導体特性に優れた電極材料…といえばAg(銀)!と考えたものの、Agを使うためには、焼成温度を900℃以下に下げなくてはなりません。どうしたものか…ということで、アルミナ粉末にガラス粉末を混ぜて焼成温度を下げるというアイディアが出てきました。ガラスと混合することで、焼成温度を低くすることができたことに加え、熱特性や誘電特性、機械特性など各種物性を調整することが可能となり、基板材料としての幅を広げることができ、現在の製品ラインナップへと繋がっています。
ちなみに、弊社で開発したLTCCは、無事にスパコンに搭載され当時上市されています。